家計を予算で回す⑩|自分の家に入れるならどこから
①から⑨まで、僕の家の予算と決算を全部開いてきました。
最後に、この仕組みを自分の家に入れるならどこから手をつけるかを書きます。
結論から言いますと、①会計年度を決める、②年に1回の支出を切り出す、③基金を1本立てる。この3つだけで動き始めます。原則を6条書く必要も、23項目に割る必要もありません。
最小構成の3つ
① 会計年度を決める
1年の区切りを決めます。僕は4月から3月にしましたが、1月から12月でもかまいません。大事なのは月ではなく年で見ることです。
④で書いたとおり、僕が12月に毎年家計を崩していた原因は、月で区切って見ていたことでした。12月に105,000円の追加支出が出るのは異常事態ではなく、毎年同じことが起きていました。1年で見ると、それが分かります。
この1つだけで、家計簿が記録から予算に変わります。費用もかかりません。
② 年に1回の支出を切り出す
毎月の生活費と、年に1回だけ出ていく支出を別の財布にします。僕の家でいう特別会計です。
切り出す基準は金額の大小ではありません。前の年のうちに見通しが立つかどうかです。お年玉、NHK受信料、自治会費、カードの年会費、車検、固定資産税、学校の教材費。どれも額と時期が去年とほぼ同じです。
これを12で割って、毎月その額を別の口座に移します。僕の家では、妻管理分の特別会計が580,360円なので、月あたり48,363円です。
③ 基金を1本立てる
10本もいりません。1本立てるなら、僕は医療基金を選びます。
⑤で書いた子どもの歯科矯正368,500円が、医療基金に積んでいた200,000円の枠で吸収できたからです。急に決まったように見える支出の多くは、健康に関わるものです。そして額が大きく、時期が読めません。
基金にするときの決めごとは1つだけです。その目的以外には使わない。使い道を決めていない貯金は、残高を見て「まだあるから大丈夫」と判断してしまうからです。
21年のうち、効果が大きかった順
| 順 | やったこと | 何が変わったか |
|---|---|---|
| 1 | 年に1回の支出を特別会計に切り出した | 12月と1月に家計が崩れなくなった |
| 2 | 使う財源を、前の年に入った分だけにした | 収入が多い月に支出が増えなくなった |
| 3 | 基金を目的ごとに分けた | 急な支出を、急だと感じなくなった |
| 4 | 執行方針を毎年書いた | 去年の判断の理由が分かるようになった |
| 5 | 管理を妻と2人にした | 毎月見る項目が歳出の24.3%で済むようになった |
1番から3番までは、お金の置き場所を変えただけです。収入は増えていませんし、節約もしていません。それでも家計の感じ方は変わりました。
4番と5番は、仕組みを続けるための工夫です。効果が出るのに数年かかりますが、入れておかないと3番までの仕組みが2年か3年で崩れます。
やらなくてよかったこと
- 一度に全部切り替える。②で書いたとおり、僕は財源を前年分に移すのに4年かけて、その間に基金から合計3,598,501円を借り入れました。一気にやると、切り替えた年の財源がありません
- 項目を細かくしすぎる。僕の予算は23項目です。これ以上細かくすると、どの項目に入れるか迷う支出が増えて、記録そのものが続かなくなります
- 予備費の枠を作る。③で書いたとおり、僕の予算では使途不明金を0円で組んでいます。枠を作ると、そこに入れて済ませてしまうからです
- 年度の途中で枠の構造を変える。⑦で書いたとおり、途中で直すとその年度の予実が比べられなくなります。気づいたことは執行方針に書いて、次の年度に直します
予算は、守るための道具ではない
⑨で出したとおり、2025年度(令和7年度)の僕の家の決算は、予算を162,135円超えました。21年やっていても、こうなります。
ただ、超えた場所は分かっています。ガソリン代が74,303円、交通費が73,800円、電気が68,948円。どれも単価と回数が外から決まる支出で、僕が気をつけて減るものではありませんでした。
ここが分かると、次にやることが決まります。節約を頑張るのではなく、予算の額を直すか、財源を増やすかのどちらかです。予算を立てていなければ、この2つの選択肢が出てきません。「今年は使いすぎた」で終わります。
家計簿を21年つけてきて、いま手元にあるのは6年分の予算書と決算書と執行方針です。残高が増えたことよりも、来年の家計の形が今の時点で決まっていることのほうが、暮らしを楽にしてくれています。
このシリーズの記事
- ① 家計簿を21年つけてたどり着いたのは「予算」だった
- ② 使うお金は「前の年に入った分」だけにした
- ③ 1年分の支出を19項目に割る
- ④ 毎月出るものと、年に1回出るものを分ける
- ⑤ 10年後に出るお金を今の年度から積む
- ⑥ 予算の数字だけでは足りないので、執行方針を毎年書く
- ⑦ 年度の途中で予算が合わなくなったとき
- ⑧ 管理する人を2人にする
- ⑨ 決算してみたところ162,135円足りなかった
- ⑩ 自分の家に入れるならどこから(この記事)
このシリーズで使った資料
- 筆者の家の「家計運用に係る原則」(全6条)
- 筆者の家の「家計の原則の運用規則」
- 筆者の家の「家計予実績表」令和3年度から令和8年度までの6年分
- 筆者の家の「家計執行方針」令和3年度から令和8年度までの6本
