家計を予算で回す⑥|予算の数字だけでは足りないので、執行方針を毎年書く
⑤までで、1年分の予算と基金の枠が決まりました。
ただ、数字だけを残しておくと、来年の自分に伝わらないものがあります。なぜその額にしたのかです。
結論から言いますと、僕は予算表とは別に「家計執行方針」という文書を毎年書いています。2021年度(令和3年度)から6年分たまりました。
数字だけでは、翌年に迷い直す
予算表には結論だけが並びます。「勉強代 60,000円」と書いてあっても、なぜ60,000円なのか、何を削った結果なのかは残りません。
来年の予算を組むときに、この60,000円を見て僕は毎回同じことを考えます。多いのか、少ないのか。去年の自分はどう考えたのか。そこで考え直すと、前の年と逆の結論を出すことがあります。
自治体の予算にも、同じ問題があります。だから予算書とは別に、年度の方針を定めた文書が作られます。僕はそれを家に持ち込みました。原則第6条で「会計担当者は、毎会計年度、執行方針を策定するものとする」と決めています。会計担当者というのは、僕です。
2026年度の執行方針に書いてあること
今年度の方針から、そのまま4つ出します。
サブスクリプションの財源を決めた
「サブスクの分は、高配当株や副業収入から優先して充てていくものとする」と書いてあります。
月々のサブスクリプション(定額の継続課金サービス)は、1本あたりは小さいのに、やめないかぎり一生続きます。給与から出すことにすると、増えても気づきません。そこで、配当金と副業収入という別の収入に紐づけました。財源の上限が、サービスの本数の上限になるという仕組みです。
お小遣いの余りの行き先を決めた
「こづかいは、20,000円/月とし残10,000円/月については、妻の会計へ積み立てることとし、年度末にその年の予算の状況に合わせて配分するものとする」
2025年度(令和7年度)まで、お小遣いは僕と妻で月30,000円ずつ、年360,000円ずつ立てていました。今年度はこれを月20,000円、年240,000円に下げています。2人分で年240,000円の減額です。
下げた月10,000円を、そのまま浮かせていません。妻の会計へ積み立てて、年度末にその年の予算の状況を見てから配分すると決めています。
減額した分の行き先を先に決めておかないと、どこかの枠が足りなくなったときに、そこへ流れて消えます。消えたこと自体は悪くないのですが、来年の予算を立てるときに、お小遣いを下げた効果があったのかどうかが分からなくなります。
積立の入金日まで書いた
「iDeCoは、引き落としされないと困るので、3月末に実施するときに、4月引落分までを見込んで入金する」
これは年度をまたぐ口座の残高の話です。年度末に口座の資金を動かすと、4月の引き落としに間に合わないことがあります。1回やってしまうと、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金が未納になります。
こういう手順は、1年に1回しかやらないので毎年忘れます。忘れることが分かっているなら、文書に書いておくのがいちばん早いという判断です。
うまくいっていないことも書いた
「僕の昼食代が予算措置されていないため、こづかいから支出するものとされている。これについては、見直しを要するものと思料される」
昼食代の枠が予算に無いので、お小遣いから出ています。お小遣いは月20,000円ですから、ここから毎日の昼食代を出すと、かなりの部分がそれで埋まります。
2025年度(令和7年度)の方針には「弁当代を考慮するものとする(年間36,000円)」とも書いてあって、同じ問題を数年にわたって書き続けています。解決していないわけですが、解決していないことを文書に残しておく価値はあると思っています。来年の予算編成のときに、また同じところで引っかかると分かるからです。
迷ったことを、迷ったまま書く
6年分の中でいちばん役に立っているのは、結論ではなく迷いが書かれている部分です。
2023年5月(令和5年5月)の記述です。妻の個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金を月5,000円に下げたときのもので、理由を2つ、迷った理由を1つ書いています。
- 下げた理由① 所得控除のメリットを生かしきれていないため
- 下げた理由② 翌年から新しいNISA(少額投資非課税制度)が始まり、そちらのほうがいいため
- 迷った理由 新しいNISAが始まるのは翌年だから、その年まではiDeCoを掛けたほうがいいのではないか
そして「アパートの新築もあるし適正な投資額とすることとした」と結んでいます。
この判断が正しかったかどうかは、今も分かりません。ただ、迷った理由が残っていると、あとで検証できます。結論だけを残すと、検証のしようがありません。
道具を入れるときも、目的を書いてから入れる
2024年度(令和6年度)の方針には、家計管理アプリを試験導入するという記述があります。注目したいのは、目的がはっきり1つだけ書いてあることです。
「妻が管理している食費等および特別会計の全容を把握するため」
僕の家では、一般会計と特別会計の一部を妻が管理しています。僕の手元の予実績表には、妻の枠は合計額でしか入っていません。アプリを入れたのは、便利そうだからではなくこの合計額の中身が見えなかったからです。
家計簿アプリや管理ツールは、入れただけでは何も変わりません。何が見えていないのかを先に書いておくと、入れたあとに役に立ったかどうかを判定できます。
この「管理する人が2人いる」という話は、次の⑧で書きます。
書き方は、1ファイルに足していく
執行方針は、年度ごとに別のファイルにしていません。1つのファイルの上に新しい年度を足していって、古い年度の記述はそのまま下に残します。
だから今年の方針を開くと、2021年度からの記述が全部ついてきます。長くなりますが、これで困ったことはありません。むしろ、同じ問題が何年も書かれているのが見えるという利点があります。昼食代の話がそれです。
書く量は、年に1回でA4の1枚から2枚程度です。予算表を作るのに比べれば、ほとんど手間はかかりません。
この記事で使った資料
- 筆者の家の「家計運用に係る原則」第6条
- 筆者の家の「家計執行方針」令和3年度から令和8年度までの6本
次の⑦では、年度の途中で予算が合わなくなったときの話を書きます。今年度はすでに1件起きていて、収支が75,772円のプラスになっている理由がそれです。
