家計を予算で回す①|家計簿を21年つけてたどり着いたのは「予算」だった
家計簿は、社会人になった年からつけています。今年で21年目です。
21年つけて分かったのは、記録しているだけでは貯まらないということでした。
結論から言いますと、僕の家計が変わったのは、家計簿を熱心につけたときではありません。仕事で担当していた自治体の会計の仕組みを、そのまま自分の家に持ち込んだときからです。
このシリーズでは、その仕組みと、自分の家の実額を10回に分けて開きます。数字は丸めません。全部、手元の家計予実績表から取ります。
記録はしていたのに、残らなかった
最初の15年ほど、僕がつけていたのは「使った額」でした。月末に集計して、何にいくら使ったかを見る。それだけです。
この形には、3つの穴がありました。
- 分かるのが、使ったあとになる。使いすぎに気づくのは月末で、そのときにはもう払い終わっています。
- 足りない月の穴埋めが、記録に残らない。車検や固定資産税のように、年に1回だけ出ていく支出がある月は、別の口座から持ってきていました。どこから持ってきて、それをいつ戻すのかは、どこにも書いていません。
- 残った月の使い道が決まらない。余った分はそのまま口座に置いておき、翌月の生活費に溶けていきました。
つまり僕がやっていたのは記録で、管理ではなかったということです。
役所は、使う前に全部決めている
自治体で予算の執行と決算を担当していたときに、当たり前すぎて見落としていたことに気づきました。役所は、1円も使う前に、1年分の使い道を全部決めているということです。
- 年度が始まる前に予算を組み、議会の議決を受けて1年分の枠が確定する
- 枠の外には出せない。足りなくなったら、流用や補正という手続きを踏む
- 将来出ていくお金は、出ていく年度を待たずに基金へ積む
- 年度が終われば決算し、余った分の行き先も決まっている
僕の家計簿に無かったのは、この「使う前に決める」でした。記録は過去を見る道具で、予算は先を決める道具です。必要だったのは後者のほうでした。
自分の家の決まりを、6条の文書にした
2021年度(令和3年度)から、自分の家の決まりを文書にしました。「家計運用に係る原則」という名前の、6条だけの文書です。中身は次のとおりです。
| 条 | 決めていること |
|---|---|
| 第1条 会計年度 | 会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる |
| 第2条 会計の区分 | 会計は、一般会計及び特別会計とする |
| 第3条 基金 | 特定の目的のために基金を設けることができる。その目的のためでなければ処分できない |
| 第4条 支出 | 支出の対象とする期間は4月1日から3月31日。出納整理期間は置かない |
| 第5条 収入 | 各会計の支出に充てる収入の対象とする期間を定める |
| 第6条 予算及び決算 | 毎会計年度、予算を編成し、執行方針を策定し、決算する。決算で生じた剰余金は基金へ編入する |
家の決まりをわざわざ条文にしたのは、迷ったときに戻れる場所がいるからです。その場の気分で決めると、来年また同じところで迷います。文書にしておけば、来年の自分が読み返せます。
この6条のうち、家計が一番変わったのは第5条でした。何に使うかではなく、どの期間に入った収入を財源にするかを決めた条文です。ここは②で書きます。
2026年度(令和8年度)の予算
今年度の予算は、こう組みました。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 歳入 | 7,659,064円 |
| 歳出 | 7,583,292円 |
| 収支 | 75,772円 |
予算は、収支ゼロで組むのが基本です。入ってくる額を全部どこかに割り当てて、割り当て先のない額をゼロにします。残しておくと、使い道が決まっていないお金になるからです。
今年度だけ収支が75,772円のプラスになっているのは、年度が始まったあとに子どもの給食費が下がった分です。この75,772円をどう扱うかは、⑦で書きます。
21年で変わった3つのこと
| 項目 | 記録していたころ | 予算で回している今 |
|---|---|---|
| 見る対象 | 使った額 | 使っていい額 |
| 区切り | 1か月 | 1年度(4月〜3月) |
| 足りないとき | 別の口座から持ってくる | 流用するか、基金から借り入れて記録に残す |
この3つを変えて、貯まる額が急に増えたわけではありません。変わったのは、お金の使い道を自分が決めているという感覚のほうでした。年度が始まる時点で1年分の行き先が決まっているので、途中で何かを買うか迷ったときに、どの枠から出すのかという問いに置き換えられます。
このシリーズで書くこと
- ① 家計簿を21年つけてたどり着いたのは「予算」だった(この記事)
- ② 使うお金は「前の年に入った分」だけにした
- ③ 1年分の支出を19項目に割る
- ④ 毎月出るものと、年に1回出るものを分ける
- ⑤ 10年後に出るお金を今の年度から積む
- ⑥ 予算の数字だけでは足りないので、執行方針を毎年書く
- ⑦ 年度の途中で予算が合わなくなったとき
- ⑧ 管理する人を2人にする
- ⑨ 決算してみたところ162,135円足りなかった
- ⑩ 自分の家に入れるならどこから
この記事で使った資料
- 筆者の家の「家計運用に係る原則」(全6条)
- 筆者の家の「令和8年度(2026年度)家計予実績表」労金貯蓄預金内訳決算シート
次は②で、歳入の話を書きます。この仕組みで一番大きかったのは支出の削り方ではなく、使っていい収入の期間を決めたことでした。
