家計を予算で回す⑦|年度の途中で予算が合わなくなったとき
⑥までで、予算と執行方針ができました。
ここからは、年度が始まったあとの話です。
1年分を先に決めておいても、予算は必ずどこかで合わなくなります。結論から言いますと、合わなくなったときに何をするかを先に決めてあるかが、予算で回すという仕組みの本体です。
合わなくなったときの手続きは3つ
僕の家では、次の3つを使い分けています。自治体でやっていることと同じです。
| 手続き | やること | 使う場面 |
|---|---|---|
| 流用 | ある枠の余りを、別の枠に回す | 合計は足りているが、枠の間でずれた |
| 基金からの借入 | 基金から一般会計へ繰り入れて、あとで戻す | 合計が足りない |
| 翌年度への繰り延べ | 今年度に払わず、翌年度の予算で払う | 急がない支出で、額が確定していない |
大事なのは、どれを使っても記録が残るという点です。足りないときに別の口座からお金を持ってくるだけだと、持ってきた事実が消えます。消えると、翌年の予算を同じ間違った金額で組みます。
今年度に起きたこと──給食費が75,772円下がった
①で、今年度の予算の収支が75,772円のプラスになっていると書きました。その理由がこれです。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 歳入 | 7,659,064円 |
| 歳出 | 7,583,292円 |
| 収支 | 75,772円 |
年度が始まったあと、2026年の4月と6月に、子どもの給食費の減額がありました。合わせて75,772円です。予算では給食費を学費の枠に立てていたので、その枠が75,772円だけ余ることになります。
執行方針には、こう書いてあります。
「現時点では、予算額で金融機関に繰出しているので状況に応じて流用可能」
ここがこの仕組みの要点です。僕の家では、年度の初めに予算額のとおりのお金を学費用の口座へ移してあります。給食費が下がっても、口座にはすでに予算額が入っています。だから75,772円は学費の口座の中に余った状態で存在しているということです。
これを今すぐ別の枠に回すこともできますが、今年度はまだ動かしていません。理由は2つあります。
- 年度が終わるまでに、学費のほかの項目が増えるかもしれない。学費は、年度の途中で学年が上がる行事や教材の費用が動きます
- 急いで別の枠に回すと、使う理由を探し始める。余っていると分かっている枠は、動かさずに置いておくほうが減りません
年度末まで余れば、原則第6条のとおり基金へ編入します。
翌年度にまたがった支出──350,000円のうち50,000円
今年度、車の購入資金の残額350,000円を返済しました。ところがこの350,000円のうち50,000円は、本来は翌年度に払う分の前払いになっています。
執行方針には「うち50,000円は、令和9年度のものを前払いしているので、令和9年度に50,000円を借入金の返済に回すこと」と書いてあります。
つまり、来年度の予算では返済の枠を50,000円だけ減らしてよいということです。そして減らした50,000円は、別の借入金の返済に充てる。来年の自分への申し送りです。
この50,000円は、文書に書いておかなければ確実に消えます。前払いした記憶が1年後に残っているとは思えません。そして消えても誰にも気づかれないまま、来年度も350,000円の予算を立てます。
枠そのものが間違っていたとき
流用や繰り延べで足りるのは、枠の大きさがだいたい合っている場合です。枠の置き場所そのものを間違えていたときは、枠を作り直します。
④で書いた交通費がその例でした。2021年度(令和3年度)まで特別会計に入れていたものを、1年分を集計してみて金額が大きいことが分かったので、2022年度(令和4年度)から一般会計に移しました。
このときに僕が決めたのは、年度の途中では直さないということです。年度の途中で枠の構造を変えると、その年度の予算と実績が比べられなくなります。比べられなくなると、来年の予算を立てる材料が1年分失われます。
だから、年度の途中で気づいたことは執行方針に書き留めておいて、次の年度の予算編成のときに直します。その年度は、間違った枠のまま流用で回します。
借入は、どこから借りたかを書く
②で、仕組みを切り替えた4年間に合計3,598,501円を基金から借り入れた話を書きました。借入は、額の大小にかかわらず記録します。
小さい例だと、こういう記録が残っています。僕のお小遣いの年間予算を立てるときに、新規公開株(IPO)の売却益から340,000円と、へそくりから20,000円、合計360,000円を充てたというものです。
お小遣いを投資の利益から出しているというだけの話ですが、書いておかないと、翌年に同じ利益が無かったときに予算が組めません。財源が1回だけのものだったのか、毎年あるものだったのかは、1年たつと分からなくなります。
予算は、守るためではなく気づくためにある
ここまで書いてきて、予算を1円も超えないようにしているように見えるかもしれません。そうではありません。⑨で書きますが、2025年度(令和7年度)の僕の家の決算は、予算を162,135円超えています。
予算を立てる意味は、超えないことではなく、超えた場所と額がすぐ分かることです。枠が無ければ、超えたことにも気づきません。
この記事で使った資料
- 筆者の家の「家計運用に係る原則」第6条
- 筆者の家の「令和8年度(2026年度)家計執行方針」本年度の予算編成について・前年度からの留意事項
- 筆者の家の「令和8年度(2026年度)家計予実績表」
次の⑧では、管理する人を2人にする話を書きます。僕の家の予算は、僕ひとりでは回っていません。
